模型エンジン写真館
FUJI編
昭和45年、初めて模型エンジンを手にした私は隔月刊(のちに月刊)「Uコン技術」誌を隅々まで読むのが何よりの楽しみだった。
Uコン技術誌の最後の方にUコンのセット(機体のキット、エンジン、ワイヤーその他)の通販の広告が載っていたが、初心者用セットの定番エンジンはFUJI099だった。
何百円か追加するとENYAやOSのエンジンがセットになっていたような気がする。
というわけで廉価なメーカーという印象のFUJIだが、思い起こしてみると二輪で走るR/Cオートバイを製品化してみたり、かなり昔から船外機を作ってみたりとどちらかといえばベンチャー企業みたいなメーカーだった。
というわけで一番最初に船外機。1960年前半頃。
エンジンは061(1cc)スクリューはワイヤー駆動。
これはR/C用ではなくおそらく舵角を固定しておいて水面を一定の円を描かせて走らせるためのエンジンと思われる。
最初に書いた「Uコンセット」に、初心者用には必ずこのエンジンがセットされていた。
FUJI099。
ただし、私がエンジン付き模型を始めた1970年頃には既に吸気口は樹脂製となり、冷却フィンもクランクケースと一体になっていた。
というわけでこの鉄製の冷却フィンのモデルは1960年代に製造されたもの。
さらにこのエンジンはクランクケースとクランクシャフトを加工してオールソン製のタイマーを取り付け、スパークイグニッション仕様に改造してある。
FUJI15−II型水冷。
1969年後半。
写真ではわからないが、反対側にも排気口があるいわゆる「両面排気」タイプ。
実は最初スロットルバルブが付いていなかったが、同じ型の半端エンジンを購入し付け替えた。
その半端エンジンは何気なく購入したものだったがよく見たら取り付けラグにねじ穴が開いていなかった。
何に使うエンジンだったんだろうか?
本当にこのメーカーはよく分からない。
上と同じ頃と思われる19−II型。
同じく両面排気。
15−WS。
1975年の春頃にFUJIからシニューレ掃気の「レーシングエンジン」発売の広告が打たれた。
OS40SRなんてとても高くて買えなかったがこれなら何とか買えた。
実際に手に入ったのはその年の7月頃。
ピストンを一番下まで下げると排気口から掃気口が見えて感激だった。
でも、このエンジンを買った同じ月にとても仲の良かった友人がオートバイの事故で旅立ってしまった。
悲しい思い出のあるエンジンでもある。
同じエンジンだけどマイナーチェンジ版。
ドライブワッシャーが強化されている。
写真ではわかりにくいが前期版はシリンダーヘッドが黒染めだったのが後期版は塗料か何かで黒く塗ってあるみたいで色合いが違う。
このメーカーのシニューレエンジンはIBS(インナーバイパスシニューレ)という、掃気路をシリンダーの内側に彫ってしまいという独特の方式。
最初に書いたようにかなり独創的なメーカーだったのである。